「どうせ無理」が本当になる心理のワナとは?

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「どうせ無理だから」

そんな一言が、知らぬ間に自分を縛っていないでしょうか。

この思考の裏には「ゴーレム効果」という心理的現象が潜んでいます。

期待されない環境では、本当に能力が伸びにくくなる。今回は「“できない”と思われることが現実になる」負のスパイラルについて、深掘りしてみましょう。

ゴーレム効果とは?

ゴーレム効果(Golem Effect)とは、周囲の低い期待が本人のパフォーマンスを下げてしまう心理的影響のことを指します。

「あの子は成績が悪いから、無理だろう」と教師や親が思ってしまうと、その無意識の態度が伝わり、本人のやる気や自信が奪われ、本当に成績が落ちるという現象が起こります。

これは「期待が低いと結果も悪くなる」という、自己成就的な予言とも言えます。

「ピグマリオン効果」との対比

この逆の現象が「ピグマリオン効果(期待が高いと成績が上がる)」です。

つまり、ゴーレム効果はその“逆バージョン”で、負の影響を与える心理効果です。

教育や職場など、人間関係の中で無意識に発生しやすく、自分の成長にもブレーキをかけてしまうのが厄介な点です。

たとえ話:予選で負け続けた選手が本当に勝てなくなった話

とある中学生の陸上部員。入部当初から足が遅く、周囲から「ビリ常連」と言われていました。

最初は「次は勝つぞ」と前向きでしたが、だんだん声もかけられなくなり、練習もどこか消極的に。

そして数か月後、「自分には無理」と決めつけるようになったのです。

これは、周囲の期待値が下がり、その空気を感じた本人が自分を見限ってしまった“ゴーレム効果”の典型例です。

「どうせ無理」が口癖になると起こること

「どうせ無理」と自分に言い聞かせる癖がつくと、こんな悪循環が起こります。

  • チャレンジしない → 成功体験が減る
  • 他人と比較して落ち込む → 自己肯定感が低下する
  • 周囲も期待しない → 助けや応援も減る

結果として「本当はできたこと」まで自分で捨ててしまうことになるのです。

期待が低い環境で自分を守るには?

周囲の目が冷たいとき、自分を守る術が必要です。

  • 小さな成功を自分で記録する(他人に認められなくてもOK)
  • 「できたこと」にフォーカス(できなかったことより成長したこと)
  • 少しずつ期待してくれる人を探す(一人でも見つかれば回復が早い)

外の声が下がっても、自分の内なる声だけは育てていく。これが最も大切な対策です。

ゴーレム効果を跳ね返した実例

ある高校生は「勉強なんて無理だよ」と先生に言われ続けてきましたが、塾の講師から「君は理解が深いタイプだ」と声をかけられたことで、見違えるほど変化。

最終的に偏差値を10以上上げて合格。

“期待されるだけ”でこんなにも人は変われるのです。

よくある疑問・つまずきに答える

●「自分は期待されるタイプじゃないから…」

→ 実は、そう思っている人の中にこそ、隠れた才能があります。気づいていないだけ。

●「褒められても信じられない」

→ 小さな目標をクリアして「自分の実感」を積み上げると、言葉が現実になります。

●「周囲がネガティブすぎて苦しい」

→ 環境を変える、または“肯定的な場”(SNSでもOK)を一つだけ持ちましょう。

まとめ

  • ゴーレム効果は「期待されないことで本当に成績が下がる」現象
  • 周囲の態度や自分の思い込みが無意識に影響してしまう
  • 「自分だけは信じる」「少しずつ結果を出す」ことが打破の鍵

おわりに

「どうせ無理」と言ってしまいたくなるとき、ちょっとだけ立ち止まってみてください。

その言葉は、本当にあなた自身のものですか?

それとも、誰かの言葉をそのまま背負っていませんか?

ゴーレム効果を断ち切るのは、「信じてくれる誰か」ではなく、「信じようとする自分自身」なのです。