「とりあえず今のまま」が損を招く理由とは?現状維持バイアスの罠

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「今のままでいいや」と思ったとき、実はあなたの中で“ある心理”が働いているかもしれません。それが「現状維持バイアス」。変化にはリスクが伴うため、たとえ現状がベストでなくても、人は変えない選択をしがちです。本記事では、なぜ人は変化を避けたくなるのか、その裏にある心理を解き明かし、よりよい判断ができるようになるためのヒントをお伝えします。

現状維持バイアスとは?

現状維持バイアスとは、たとえ合理的な理由があっても「今のままでいい」と考えてしまう心理的傾向を指します。これは無意識のうちに働き、選択の幅を狭めてしまうこともあります。

たとえば、今使っているスマホに不満があるのに「壊れてないからいいや」と買い替えを先延ばしにしたり、仕事にやりがいを感じていなくても「慣れてるから辞めない」といった決断をしてしまうなどです。

変化の“リスク”に対して、現状の“安全”が過大評価されてしまうのがこのバイアスの特徴です。

なぜ人は現状を維持したがるのか?

人間の脳は「変化=危険」と捉えるようにできています。進化の過程で、新しいことに飛びつくよりも、既知の環境で生き延びることが優先されたからです。

この性質は現代にも残り続けており、選択肢が多すぎる現代社会においては、むしろ逆効果になることがあります。

心理学ではこの現象を「損失回避」とも関連付けます。人は得をするよりも、損をしないことを強く望むのです。

変わることで得られる利益よりも、“今あるものを失う怖さ”が判断を鈍らせるのです。

実際の場面での例:あなたも無意識に選んでる?

以下のような場面、思い当たりませんか?

  • 引っ越し先を決めるとき、家賃や間取りが良くても「遠くなるからやめとこう」と現住まいに固執する
  • 新しい友人や仕事仲間に出会っても、「今の関係で十分」と距離を詰めようとしない
  • 毎回同じメニュー、同じ店ばかり選ぶ

これらはすべて“現状維持バイアス”の典型例です。

選択肢が増えても、脳は「知らないもの=リスク」と判断し、現状を選ばせようとします。

現状維持バイアスを超えるためには?

まず必要なのは「自分が現状維持バイアスにかかっている」と気づくことです。そのうえで、次のような行動をとると効果的です:

  • 「変えない理由」を紙に書き出してみる(本当に合理的?)
  • 失敗したときの影響と、得られる可能性を天秤にかける
  • まずは小さな変化から始めてみる(通勤路を変える、新しいカフェに入ってみる、など)

脳をだまさず、納得させる。それが“変化の第一歩”です。

よくある誤解:「変わらないこと」は悪なのか?

もちろん「現状維持」そのものが悪いわけではありません。安定が必要なとき、変えない判断が最適な場面もあります。

しかし、「変えるべき理由があるのに、恐れから変えられない」なら話は別です。そこには現状維持バイアスが働いている可能性が高いのです。

“納得して選ぶ現状維持”と、“思考停止の現状維持”は全く別物です。

まとめ

  • 現状維持バイアスとは、変化よりも現状を優先してしまう心理のこと
  • 変化にともなう損失を過大評価してしまうことが多い
  • 自覚し、小さな一歩から変化を受け入れることが大切

おわりに

「とりあえず今のままで…」が口癖になっているなら、そこには思考のクセがあるかもしれません。変わることには勇気がいりますが、変わらないことにもリスクが潜んでいます。まずは“気づくこと”から始めてみましょう。あなたの未来は、「少しの違和感」を見逃さないことから、動き出すかもしれません。