何事も「終わりよければすべてよし」――この言葉に深く関係しているのが「親近効果」という心理現象です。会話の最後、授業の締めくくり、仕事の最後のひと言…。人はどうしても「最後の印象」に心を引っ張られてしまう傾向があります。今回はその理由と活かし方を掘り下げてみましょう。
親近効果とは?最後に印象が残る理由
親近効果(Recency Effect)とは、連続する情報の中で、最後のほうに得た情報が最も記憶に残りやすいという現象です。たとえば、10人が順番に自己紹介をしたとき、最後の1〜2人の印象が特に強く残っていることはありませんか?これは、記憶の構造上、「直前に得た情報」が一時記憶にとどまりやすいためだとされています。
最後の印象は、全体の評価にまで影響を与えることがある
たとえ話:映画のラストシーンがすべてを変える
映画や小説で、「結末がよければすべてよし」と感じたことはありませんか?内容が普通でも、最後に感動的な展開があると「良い作品だった」と記憶されやすくなります。逆に、ストーリーが良くてもラストが雑だと「なんだか微妙だった」という印象に変わってしまうのです。
これは、脳が情報の終点を「全体の印象」にすり替える傾向があるため。最後の印象=その体験全体の印象になりやすい
親近効果を活かす実践ポイント
親近効果を日常に取り入れることで、印象力が大きく変わります。たとえば…
- 挨拶の締めくくり:「また話しましょう」「お元気で!」などポジティブな一言を添える
- プレゼンや会議の最後:「今日の要点を一言で言うと…」とまとめる
- 接客やメール対応:最後にお礼や心配りの言葉を入れる
去り際の印象は、出会い以上に記憶に残ることがある
注意したいポイントと誤解
「最後が大事なら最初は適当でいいのか?」というと、そうではありません。第一印象も同じくらい重要です。むしろ、第一印象と最後の印象が一致していると、信頼感はさらに高まるという研究もあります。
また、あまりにも「最後の印象だけ良くしよう」と意識しすぎると、わざとらしくなったり、逆に全体の誠実さを疑われることも。本心からの言葉や態度であることが何より大切です
まとめ
- 親近効果とは「最後の情報が強く印象に残る心理現象」
- ラストシーンの印象は全体の評価に大きく影響する
- 日常でも「締めのひと言」に心を込めることで印象UP
- 第一印象と親近効果はどちらも大切で、バランスが重要
おわりに
人生のいろんな場面で、最後にかけたひと言が、思った以上に人の心に残っていることがあります。出会いも大事、でも別れ際のひとことも大事――親近効果を味方につけて、あなたの言葉がもっと人の心に届きますように。